調査報告書7 イベントCG その6

瑠璃「天野おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!」

 

ドガシャアアッ!

蹴り足が、一瞬前までぼくの顔面が存在した位置に、まっすぐ打ち込まれた。

顔を横にズラすのがあと一瞬でも遅れてたら、直撃を受けてただろう。

結果としてコンクリート塀に打ち込まれた足の裏には、結構な量、ぼくの髪の毛が巻き込まれて踏まれている。

いやむしろ蹴り足がかすった耳たぶの方が、摩擦熱で焦げてる感じがして気になるかも。

 

瑠璃「……かわしたか。やるな」

 

腰を抜かしてコンクリ塀を背にヘタり込んでいるぼくを見下ろし、憮然として呟く。

 

ゆうき「い、いや、あの……」

 

ぼくはヘタり込んだまま、コンクリートのヒビが入っている場所を、横目で眺める。

ビシビシっ、と音を立てて、広がる亀裂。

その亀裂がある程度まで広がった時——ガラガラと音を立てて、コンクリートの塀は崩落した。

う゛ぞっ。

 

ゆうき「あ、あ……」

 

あまりのことに口がパクパクと虚しく動くだけで、言葉が出てこない。

 

ヒュウウウ……

 

残骸の上を、虚しく風が吹きぬけた。

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